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5分で分かる相続手続の話
 こんにちは。相続コンサルタント・行政書士の秋間(あきま)と申します。
 ここでは、 『5分で分かる相続手続の話』というお話をさせていただきます。
無料でご覧になれますので、ご安心ください。

― 「相続って言ったら、相続税?」
  「いや、その前に、土地の名義、変えなきゃならないでしょ?」
  「銀行も『書類持って来い』って言ってるし・・・。」

 葬儀も終わり、いざ「相続手続」を始めようとして、
「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ」と、いっぺんに考えると、
頭の中が混乱してしまいますよね。

 しかし、混乱したままで手続を進めると、当然、失敗も多いんです。
 そこで、はじめに、下の表で、 「相続手続全体の流れ」を押さえてください。
 (※ 以下では、相続手続を「分かりやすさ」という視点から整理してあります。
    実際の手続では、一部、以下の順序通りに進まない場合もございますので、
    あらかじめ、ご了承ください)。

相続手続 全体の流れ
@健康保険・公的年金に関する手続
A相続財産調査
B相続人・相続分の確定
C遺産分割協議
D名義変更
E税金に関する手続
  (1)相続税    
  (2)所得税    
  (3)固定資産税 
Fその他の手続

「・・・何か、いっぱいあって大変だなあ。」 と思われた方も
いらっしゃるかも知れませんね。
 たしかに、相続って、日常的に考えるものではありませんよね。
ですから、「大変だなあ。」と思われても、不思議ではないと思います。
 そういうわけで、全部を細かく考えていくと混乱しがちですから、
 一度目は、全体をざっと読まれるか、
関心のあるところから読まれるとよいと思います。
 
 まず、@健康保険・公的年金に関する手続は、
通常、死亡届の提出などに関連して、
ご遺族が市区町村役場にお出かけになった際に、
同時に行なわれることが多い手続といえます。
 ただ、葬儀の準備のためにバタバタしているうちに、
意外と忘れられることが多い手続
でもあります。
 そして、これらの手続を忘れてしまうと、
 (1)もらえるはずのお金(「葬祭費」「埋葬料」)がもらえなかったり、
 (2)もらってはいけないはずのお金(故人の年金等)をもらってしまう
   ことがあります(後で利息付で返還することになります)。
 このようなことにならないよう、お早めに手続を済ませてくださいね。
(詳しくは、市区町村役場の保険年金課・社会保険事務所などにお問合せください。)
(「相続手続全体の流れ」に戻る⇒
  
 次に、「亡くなった方の遺産が、どこに、どれだけあるか」が
はっきり分かる書類をそろえなければなりません(A相続財産調査)。

 家・土地にしても、預貯金にしても、遺産の名義変更をするためには、
法務局や銀行に「遺産がどこに、どれだけあるかを証明する書類」を
出さなければならないからです。
 具体的には、遺産の内容を証明できる書類
(故人のお手元にのこされた契約書・証券・通帳や、
不動産についての登記簿謄本などの公的書類)を
そろえる必要があります。
 (「相続手続全体の流れ」に戻る⇒
  
 そして、Aと並行して、
「誰が法定相続人で、それぞれ、どのくらい法定相続分を持っているのか」を
はっきりさせておく必要があります(B相続人・相続分の確定)。

 具体的には、後の手続のとき、
役所や銀行の人にも家族関係・親族関係がわかるように・・・
(1)「故人の、生まれてから亡くなるまでの記載のある、
    全ての戸籍・除籍(又は原戸籍)謄本」
(2)「相続人の戸籍謄本」
(3)「故人の最後の住所地での住民票の除票(除住民票)」
(4)「相続人の住民票」
・・・等をそろえ、相続関係説明図を作成し、
民法の規定に従って法定相続分を確定します。
(「相続手続全体の流れ」に戻る⇒
  
 それが終わったら、「遺産は誰が、どう分けるのか」を
相続人全員で話し合って決めなければなりません(C遺産分割協議)。

 具体的には、
(1)相続人全員で、遺産をどう分けるかを仲良く話し合った上で、
(2)全員の印鑑証明書をそろえ、
(3)「遺産分割協議書」を作成し、
(4)署名捺印(実印)をする必要があります。
(※ もっとも、相続人が1人しかいない場合は、 (当然ですが)遺産は相続人が1人で承継しますから、
  この手続は必要ありません。)

(「相続手続全体の流れ」に戻る⇒
  
 そして、晴れて遺産の分け方が決まったら、その取り決めにしたがって、
それぞれの遺産の名義を変更します(D名義変更)。
一般的なご家庭における相続の際に必要な 名義変更
1、公共料金(電気・ガス・水道・電話・NHK)
   ⇒電気会社・ガス会社・水道局・電話会社・NHK
    などの窓口
2、金融機関に対する預貯金⇒各金融機関
3、不動産(所有権移転登記)⇒法務局
4、自動車(移転登録)⇒陸運局
5、株式・ゴルフ会員権などの、「有価証券・会員権」
   ⇒証券会社等、有価証券を管理している機関
 (「相続手続全体の流れ」に戻る⇒
  
 以上が終わったら、 最後に、「E税金に関する手続」をします。
(※ 「以上の手続がスムーズに進まず、税金に関する手続の期限が迫ってしまったため、
  やむを得ず、税金に関する手続を先に行なう」という場合もありますので、ご注意ください)。


 相続に関して問題になる税金としては、
(1)相続税・(2)所得税・(3)固定資産税 の3つがあります。
 
 第1に、(1)相続税について、しばしば、週刊誌などで、
「あの○○さんの遺族に莫大な相続税が!」などと書かれているため、
「相続」と言えばまず「相続税」を思い浮かべてしまう方が多いのですが、
実際に相続税がかかるのは、遺産が一定以上の高額である場合だけ
なんです。
 年度によって若干の変動はありますが、大体、全相続件数の95%で、
相続税の申告は不要となっています(財務省「相続税の課税状況の推移」・
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/137.htm)。

 このように、ほとんどの場合に相続税がかからない理由は、
相続税については、いわゆる「遺産に係る基礎控除」として・・・
     『5000万円+(1000万円×法定相続人の数)』
・・・が控除されるからなんです(相続税法15条1項)。
「相続税の基礎控除」の具体例
 たとえば、相続人が3人いる場合には、・・・
◎基礎控除額=5000万円+(1000万円×3)= 8000万円
・・・となり、遺産が8000万円を超えない限り、 相続税はかからず、
相続税の申告は不要となります。
(※ この場合の「遺産」には、生命保険金など、
  相続税法上の「みなし相続財産」も含まれますので、ご注意ください。)

 これに対して、各種の控除をしてもなお残額がある場合には、
相続税がかかることになります。
 この場合は、相続の開始があったことを知った日の翌日から
10ヶ月以内に、税務署に相続税の申告をしなければなりません
(相続税法27条1項)。
(「相続手続全体の流れ」に戻る⇒
 
 第2に、(2)所得税について、
故人が、亡くなる直前まで、一定の収入を得ていた場合、
相続人が、亡くなったことを知った日の翌日から4ヶ月以内に、
所得税の確定申告をする必要があります(所得税法124条・125条。
この手続は「準確定申告」と呼ばれることがあります)。
(「相続手続全体の流れ」に戻る⇒
 
 第3に、(3)固定資産税について、
故人が、亡くなる直前まで、不動産の固定資産税を支払っていて、
死亡後、相続人のうちの誰が不動産を相続するかについて
遺産分割協議がまとまっていない場合、
市区町村役場(東京都の場合は都税事務所)に対して、
「相続人代表者選任届」を提出する必要があります(地方税法9条の2)。
(「相続手続全体の流れ」に戻る⇒
  
 主な相続手続は以上の通りですが、多くの場合、
Fその他の手続が必要になるといえます。
 どういうことかと申しますと、
故人が生前にしていた契約・取引などについて、
故人のお手元に書類が残されていないと、
ご遺族にとっては、そういう契約・取引の存在すら分かりませんよね。
こういう場合、相手方から故人宛に手紙が届いて初めて、
「ああ、そういう契約をしていたんだ。」と気づくことになるわけです。

 こういう場合は、@〜Eの手続に準じて、必要書類を提出すれば、
問題なく手続を完了できます。

 例えば、私の祖父が亡くなったときは、
1ヵ月後に、某デパートから祖父宛に、
「クレジットカードの年会費を支払ってください。」
という手紙が来ました。
 そこで、担当部署に電話をして、祖父が亡くなった旨を伝え、
戸籍のコピーを送って、退会手続を済ませました。

 @〜Eの手続を終え、ほっとしているところに手紙が来ると、
「まだあるのか!」と言いたくなりますが、
あらかじめ「まあ、そういうものだ」と心の準備をしておけば、
あわてず騒がず、落ち着いて手続を済ませることができると思います。

― 「5分で分かる相続手続の話」は以上です。
 
 普段、法律になじみのない方にも読みやすいように、
看板どおり「5分で分かる」ように書いたつもりですが、
いかがでしたでしょうか?

 「文字通り、5分で分かった。ありがとう!」という方も、
 「5分以上かかっちゃったじゃないか!どうしてくれるんだ!」という方
 (ごめんなさい)も、以上のお話が、多少なりともお役に立てば幸いです。